DLE50

2008年11月20日

小三算数「長い長さ」におけるデジタルレーザーメーター「DLE50」を活用した授業実践 5

aab8bd19.jpg概要
 小学校3年生算数科の単元「長い長さをしらべよう」(啓林館)では、1mのものさし、ひも、巻尺を使った測定活動が行われる。そこでは測る対象によって適切な計器を選んで測定したり、工夫して測定したりすることが求められている。

 今回、50mまでの長さが瞬時に計測できるデジタルレーザーメーター「DLE50」を計器の一つとして活用した。デジタルレーザーメーター「DLE50」は、児童に身の回りの長さの見通しを持たせることや、一人で正確に長さを測定できる計器として有効に活用できることがわかった。

1 はじめに
 小学校算数科の内容は、「A数と計算」、「B量と測定」、「C図形」及び「D数量関係」の4領域に分かれている。デジタルレーザーメーター「DLE50」を活用する単元「長い長さをしらべよう」は、「B量と測定」の領域に属し、この領域のねらいは、身のまわりにある様々な量の単位と測定について理解し、実際に測定できるようにするとともに、量の大きさについての感覚を豊かにすることである。
 3年生では、2年生で学習した長さの普遍単位(ミリメートル、センチメートル、メートル)を基に、単位や計器を適切に選んで測定する学習を行う。学習指導要領解説算数編(*1)には、「B(2)目的に応じて単位や選択」として、次の記述がある。
(2)長さや重さについて、およその見当を付けたり、目的に応じて単位や計器をを適切に選んで測定したりできるようにする。
 ここでは、主に実際の生活場面での効率的な測定、的確な表示ができるようにすることをねらいとしている。
 ある量を測定するとき、その量がどの程度の大きさであるか、およその見当を付け、測定に用いる単位や計器を適切に選択できるようにしなければならない。
 今回、計器の選択として、従来の1m竹尺、20m巻尺に加えて、デジタルレーザーメーター「DLE50」も有効活用できないかと考えた。児童にとって、長さを測定するツールの選択肢を増やし、「およその見当を付け」ることに役立つのではないかと考えたからである。

2 単元「長い長さ」の概説
(1)対象 小学校3年生児童
(2)日時 2008年11月15日
(3)単元名 『わくわく算数3上』(6 長い長さをしらべよう)
(4)教材の系統性
1年 ながさくらべ(直接比較、任意単位による間接比較)
 ↓
2年 100cmをこえる長さ(普遍単位cm、mm、m。簡単な長さの計算)
 ↓
3年 長い長さ(普遍単位km、長さの見当づけと計器の選択)
(5)学習内容
 教科書の指導書には、この単元の学習について以下の記述がある。(*2)
長い長さの学習内容
 本単元では、まず、教室のたてと横の長さを測るという課題を設定する。そして、1mのものさしで測定する活動や、ひもを使って測定する活動などを取り入れながら、長いものさしの必要性を感じさせ、巻尺を導入する。巻尺を使った測定活動を行わせた後、道のりなど表す長さの単位にkmがあることを知らせ、kmとmの関係について理解させ、簡単な長さの加減計算ができるようにする。

測る対象によって適切な計器を選ぶ
 教室のたてや横の長さ、走り幅跳びでとんだ長さなど、長いものを測るときや木の周りの長さを測るときなど、ものさしでは測りにくい体験をした上で、それに合った測定器具を導入すると、その測定器具の便利さを感じることができる。また、巻尺には、10m尺や50m尺などいろいろあり、測る対象によって適切な計器を選んで測定したり、工夫して測定したりしたことを話し合わせながら、測る対象によって適切な計器を選び日常的に使えるようにさせる。

「直線」が見えない長さを測定する
 第2学年の長さの測定と異なる点は、測定の対象となるものが「直線」として見えない場合の測定である。これまでは、見えている直線にものさしをあてて、その長さを測定した。しかし、第3学年では、点と点の間に直線を想定してその間の長さを測る。すなわち2点間の距離という概念である。それらの概念も巻尺の使い方と同様に学んでほしい内容である。

見当づけ(長さの見積もり)と量感
 量と測定の領域の学習では、量を見積もる課程を位置づけて展開する。「見積もり、測定する」という過程を繰り返すことで、確かな量感や見積もり方法を育成し、これを適切な計器選択や目盛りのよみの誤りを防ぐ力につなげる。本単元でも長さを測定する前に、見積もる活動を行うようにする。
(6)指導計画
目標学習活動おもな評価規準
1本時・「巻尺のよさを知り、巻尺を使って正しく測ることができる。・教室の縦と横の長さを測るためには巻尺が便利だと考え、巻尺の特性を知る。(表)巻尺を正しく使い、目盛りをよむことができる。
・巻尺を使って色々なものの長さを測ることができる。・巻尺を使って木の周りを測る。
・色々なところの長さを、予想してから測る。
(表)巻尺を使って、色々なものの長さを測ることができる。
・kmを知り、道のりをkmやmで表すことができる。
・簡単な道のりの計算ができる。
・1000mをこえる長さを表す場面から、kmの単位の必要性を知り、mをkmで表したり、kmをmで表したりする。
・道のりの計算について考える。
(知)長さの単位「km」を理解することができる。
・学習内容の自己評価

3 本時の学習
(1)目標
 長さの見当づけを行い、巻尺を使って直線上の長さを測ることができる。
(2)展開
児童の活動留意点と評価の観点
○さし絵を見て、教室のたてと横の長さを測定している場面であることをつかむ。・「教室のたてと横の長さはどのくらいある?」となげかけ、自分たちも実際に測ってみたいという気持ちをもたせる。
(関)長い長さに興味をもって、測ろうとする。(観察)
教室のたてと横の長さをはかってみましょう
○どのくらいの長さになるか見当をつける。
・たて・・・8mくらい
・横k・・・8mくらい
○測り方を考え、話し合う。
・30cmものさしを使うと、短すぎるし、何回も測らないといけない。
・1mものさしを使うと、これも何回も測らないといけない。
・もっと長いものでは、巻尺がある。
・1mがどれくらいかを思い出させる。
・何を使って測るか考えさせる
・今までに使ってきた長さを測る道具について思い出させる。
・巻尺という言葉が出てこないときは教える。
(考)長さの見当をつけ、測り方を考えることができる。(発言)
○巻尺の使い方を知る。・巻尺には0の目盛りの位置が異なるものや用途に合わせて長さの異なるものがあるので、数種類の巻尺を用意し、0の位置を確認させる。
(知)巻尺のしくみや使い方がわかる。(観察) 
○手分けして教室のたてと横の長さを測る。・ねじれたり、たるんだりしないようにぴんとはらせて測定させる。
(表)巻尺を使って長さを測ることができる。(観察)

4 授業の様子
(1)長さを予想して竹尺で測る
竹尺で教室の長さを測る児童 まず、児童に「教室のたてと横の長さを予想しよう」と発問した。児童の予想は、たて5m、横4mであった。その後、実際に計測を行って確かめさせた。
 児童が最初に使用した計器は1m竹尺である。これは、1mという普遍単位を理解させるのに最適な道具である。教室の端に竹尺の端をぴったりと合わせ、竹尺をどんどん継ぎ足していく要領で測定する。まっすぐに竹尺を伸ばすために、児童は協力しながら作業を進めた。最後に、端から、「1本、2本」と数えていくと、何メートルかがわかる。教室の横の長さは竹尺では7mということになった。4mと予想していた児童は、「そんなに長かったんや」とつぶやいていた。

(2)巻尺で測る
巻尺で教室の長さを測る児童 次に、使用した計器は10m巻尺である。竹尺の本数は限られているし、何本もつなぎ合わせるのが大変だという意見から巻尺を使用することになった。普段から学校では巻尺はよく利用される。運動場のライン引きには必須である。
 巻尺を使用するときに注意することは、0の目盛りの位置である。持つところが0であるものや、持つところから少し離れて0がある場合がある。もっと厳密にいうと、持つ部分の内側か外側によっても違う計器がある。測定で0を合わせることはとても大切なことである。
 巻尺は一人では使用できない。一人が教室の端で0を合わせ、もう一人がまっすぐに伸ばして、たるみをとり、目盛りを読む。巻尺での測定では、教室の横の長さは6m95cmとなり、竹尺よりも精度が向上した。

(3)デジタルレーザーメーター「DLE50」で測る
板書(竹尺、巻尺、レーザー) 巻尺、竹尺は児童が自由に活用できるように、ある程度数を確保していた。その横にさりげなく置いていたデジタルレーザーメーター「DLE50」を見つけた児童が「これ何ですか?」と質問をした。「これも長さを測る道具です。」と説明した。
 使い方はとても簡単。測定したい対象の端にデジタルレーザーメーター「DLE50」の
底辺をぴったり重ねる。ここが0の目盛りになる。そして、赤いボタンを押し、測りたい対象のもう一点へ赤色レーザーを照射する。そして、もう一度赤ボタンを押すと瞬時に2点間の距離が測定される。しかも、精度は1mmであり、たった一人でかなり正確に測定できる。
 早速、児童が教室の横の長さを測定すると、6.914mであった。但し、レーザーは人の目に向けて照射しないように注意を徹底する必要がある。
対象予想竹尺巻尺レーザーメーター
教室の横の長さ4m7m6m95cm6.914m

5 まとめ
(1)デジタルレーザーメーター「DLE50」は、50mまでの長さが瞬時に計測できる計器の一つとして有効
 学校には、竹尺、巻尺のような計器はあるが、長いに長さになると複数人で計測する必要があり、計測に時間がかかることが多かった。もちろん、単位あたりの長さを体験を持って体得することや、量感をつかませるためにこれらの活動は必須である。しかし、学校で用意できる計器の一つとして、デジタルレーザーメーター「DLE50」を位置づければ、瞬時に精度がよい距離を測定できるというメリットも多くなる。長さを測定するための計器は、いくつかの種類の中から選ばせることができると活動に幅が出てくる。デジタルレーザーメーター「DLE50」は、児童の長さに対する関心を高められる計器であることは間違いない。

(2)2点間の距離が意識でき、長さの概念が拡張できる
 レーザーで点を示したところまでの距離を測定できることで、これまで定規をあてて計測した距離の概念を拡張できる可能性がある。廊下の長さを例にしてみよう。これまでは巻尺をのばして計測していたが、デジタルレーザーメーター「DLE50」では本体底を1点とし、レーザーの照射されたもう1点までの距離を長さとして児童に認識させることができる。長さの概念を拡張できる可能性がある。ちなみに本校の廊下は20.015mであった。

(3)見当をつけた長さが一人で瞬時に確かめられる
 この単元では、およその長さの見当を付けたり、目的に応じて単位や計器をを適切に選んで測定することが求められていた。デジタルレーザーメーター「DLE50」を使うと、一人でも瞬時に正確に長さを測定することができるので、自分がたてた予想と結果を比較することが容易になった。

(4)小学生用の専用設計があるとよい
 今回活用した、デジタルレーザーメーター「DLE50」はプロ用のツールであり、1mmまで正確に測定できるメリットもあるが、小学校3年生では小数の学習をしていないため、逆に結果の数値が細かすぎるという欠点も明らかになった。また、この年齢の児童は、mm、cm、m間における単位の変換もまだまだ苦手であるので、小学生用に単位を変更できたり、わざと精度を下げたりする機能があると、教具としてもっと活用できるのではないかと思った。
 
参考文献
*1 文部科学省、『小学校学習指導要領解説算数編』、2008、p.105
*2 啓林館、『わくわく算数指導書 詳説 3上』、2005、p.74

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